血液学的検査(血液一般検査)

今回は「血液学的検査(血液一般検査)」について知っていただきたいと思います。

「血液一般検査」や「貧血検査」などとも言われており、血液中の有形成分である赤血球や白血球に異常がないかを調べる検査です。

人間ドックにおいて調べる項目は、赤血球数(RBC)・白血球数(WBC)・ヘモグロビン(HGB)・ヘマトクリット(HCT)・血小板数(PLT)・平均赤血球容積(MCV)・平均赤血球ヘモグロビン量(MCH)・平均赤血球ヘモグロビン濃度(MCHC)の8項目です。

赤血球が酸素を体中に運んでいること、その名の通り赤いことは皆さんもご存じかと思います。その赤血球のなかで酸素と結合しているのがヘモグロビンで、鉄を含む『ヘム』とタンパク質でできている『グロビン』からなります。


貧血を診断するにはヘモグロビン濃度の値が重要な指標となります。平均赤血球容積(MCV)で赤血球の大きさを知ることで、貧血を分類し原因を検索します。

貧血が進む理由は様々ですが、症状としては酸素を運ぶ赤血球が足りなくなることで結膜が白くなってしまったり、慢性的な疲労がでたり息が切れやすくなったりします。

ここがポイント!
ヘモグロビンの原料となる鉄分は体内でつくることはできません。

ですから、食事やサプリメント、薬から摂取することで補ってあげる必要があります。鉄分を多く含む食材として、ホウレンソウやレバー、ひじきの名前をよく聞くかと思います。
また貧血は鉄分だけでなくビタミン不足でも起こることがあるため、チーズや大豆などのビタミンB12や葉酸を多く含む食品を一緒にとるのも効果的かもしれません。
もちろん貧血の原因は鉄やビタミンの欠乏だけでなく白血病などの血液のがんや、腎臓病、甲状腺機能低下症など様々なので、要精査と判定されたら一度専門医を受診していただくことも大切です。

貧血と反対に赤血球が異常に増えてしまう疾患のことを「多血症」と言います。赤血球が増加すると血液がドロドロし流れがスムーズでなくなるため、頭痛・めまい・耳鳴りなどの症状がでたりすることがあります。また前触れもなく脳梗塞や心筋梗塞が発症してその原因とされることもあります。
こわいですね。
多血症の原因には、肥満・アルコール多飲・喫煙などの生活習慣が関わっていることがあります。特にタバコは気づかないうちに酸欠状態となり、身体が酸素を求めて赤血球を増やす結果、多血症になるとも言われています。こちらも注意が必要です。

白血球数は、好中球・リンパ球・好酸球・好塩基球・単球という5種類の白血球の総数です。細菌感染症やストレスなどで好中球が増加し白血球が高値と判定されることが多いですが、血液のがんとして有名な白血病でも増加することがあります。反対にウイルス感染などで一時的に低下することもありますし、骨髄異形成症候群、再生不良性貧血などの血液疾患のため正常な白血球を作れなくなってしまうこともあります。異常な白血球などがないかなど顕微鏡で調べていく検査を末梢血液像検査といい、人間ドックで実施している病院も多くあります。(※1)

もともと白血球が多めだったり、少なめだったりする人もいますが、裏に大きな病気が密かに進行している可能性もありますので、要精査の場合、一度受診していただくことをお勧めします。

※1 厚生連病院では茨城西南医療センター病院以外の5病院が人間ドックで実施しています。